一般社団法人 全国労働安全衛生研究会

これまでの前代表あいさつ

前代表からのごあいさつ

五味明大

 

 

 

『一般社団法人全国労働安全衛生研究会』のご挨拶

 

 

一般社団法人全国労働安全衛生研究会 前代表 五味明大

 

 

 2013年2月に第19回総会が開催され全国労働安全衛生研究会は正式に『一般社団法人全国労働安全衛生研究会』として設立され既に活動が継続されています。一般社団法人となったということで研究会の運動方針や具体的な活動がこれまでと変わるものではありませんが会員の皆様、賛助団体、これまでご支援ご協力を賜りました民間・自治体労働組合・諸団体の各位に改めてご報告と御礼を申し上げます。

 

 全国労働安全衛生研究会は1990年6月2日大阪にて全国労災職業病研究会準備会として産声を上げました。前年の1989年秋に総評の解散、それに伴う『日本労働者安全センター』が解散となり労働者の健康と生命を守る砦が失われました。このため同センターの趣旨を継承するため、とりわけ各県に存在していた労災職業病研究会の有志による3回の懇談会が開催され準備会は1991年11月1日に静岡県伊豆長岡にて第1回総会が開催され正式に研究会としてスタート致しました。以来20余年に亘る主たる活動としては、季刊誌『生命と権利』、『ろうあんけんの本』リーフ・パンフ等の出版物発行。全国規模の学習と交流の『全国労働安全衛生学校』、『学習交流研修会』を毎年度実施してきました。

 

 これらの研究会活動は働く者の健康と生命を守ることを第一義として、健康を害すことのなく生命を奪われない職場つくりの学習と交流を主として全国皆様の協賛とご支持のもとに今日に至っています。

 

 さて、今日の職場や地域での働く者の健康と生命はどのような状況におかれているでしょうか。厚生労働省の取組から見てみましょう。厚生労働省は9月現在「過重労働重点月間」を設けてその取組を実施しています。取組の内容は①時間外・休日労働の法違反是正指導②賃金不払残業(サービス残業)是正指導③医師面接等の健康確保措置指導です。また④過労死事案のある企業に対して再発防止取組の徹底、あるいは⑤パワーハラスメントの予防・解決等をこれらの月間に実施しています。無料電話相談も実施され1日だけで1042件の相談が本人や家族からありました。業種は製造業、商業等です。主な相談内容は賃金不払残業(サービス残業)556件(53%)、長時間・過重労働414件(40%)、パワーハラスメント163件(15%)でした。

 

 これらの相談からも働く者の厳しい実態と問題が浮き彫りにされ、けっして職場は安心して健康で働き続けられる状況が保障されてはいないのです。

 

 

 それではこれらに対する社会的な考え方や補償に対する企業(使用者)責任としてはどうあるべきなのでしょうか。これに対して法律上、最高裁判所は明確にしています。それは「企業(使用者)には働く者に対する安全を配慮する義務がある」、「働く者の労働に対する疲労や心理的負荷・ストレスを把握して時間外労働等を規制すること」、「働く者の健康状態を健康診断等で日常管理を行う義務がある」とその義務責任が明確にされています。

 

 しかしながらこれほどに企業(使用者)側に働く者の健康と生命を守らなければならない立場が社会的に明らかであっても年間多くの職場で多くの尊い生命が過労死や自死(自殺)で失われているのです。死に至らないまでもうつ症等のメンタル疾患で長期の休業もしくは退職という形で生活の基盤が奪われているのが現実です。

 

 今日の職場実態を直視して20年余の微力な研究会運動ではありましたがその過去、現在、そして明日へと一般社団法人としての設立を機にさらなる研究会運動の発展を目指していきます。引き続きの皆様のご支援ご協力を一層賜りますようお願い申し上げます。

 

 そして働く者が健康で働き続けられる職場労働条件・環境をつくるための安全・衛生活動と研究学習、労働災害や職業病で失われた健康や生命の補償相談・助言・交渉手続き等、旧倍の活動を皆様と共に進めてまいります。

 

2013年9月10日

ホーム RSS購読 サイトマップ
研究会あゆみ 学校の概略 生命と権利 リーフレット 学校研修会 スクラップ 調査研究報告